日本大学 理工学部 電子工学科

山本寛教授と呉研助手が平成28年度科学研究費補助金を獲得

 山本寛教授は、挑戦的萌芽研究に採択されました。題目は「一本の単層カーボンナノチューブに金属/半導体接合を作り込む革命的作製手法の確立」です。

 山本寛教授は、これまでにアルコール触媒気相成長 (ACCVD) 過程において、超短パルス光 (自由電子レーザー:FEL) を共鳴吸収させて、単層カーボンナノチューブ (SWNTs) のカイラリティをその場成長制御する世界で初めての技術を開発しつつあります。これは全く新しい独創的な手法であり、すでに波長800 nmのFEL照射によって半導体SWNTsのみの選択成長が実現できることを発表しています。本申請研究では、世界的に未だ報告がなされていない、このSWNTカイラル制御手法を適用し、1本のSWNTの中にナノスケール金属/半導体接合を形成することを目指します。さらに、そのナノ接合系を組み込んだ新規のナノ電子デバイスモデルを提案・試作し、期待される超低消費電力・超高速スイッチング特性を確認することも目的としています。岩田展幸准教授、永田知子助手を共同研究者とする研究チームで本研究を進めていきます。

 呉研助手は、若手研究(B)に新規採択されました。題目は「耐放射線照射性に優れた新規トンネルFETの動作実証」です。

 本研究は「低電圧駆動が可能で、放射線照射誘起した過渡エラーが小さなトランジスタデバイス」を目指すものです。LSIの電源電圧を下げることを目的に研究されたトンネル電界効果トランジスタ(FET)は、省エネルギーデバイスとして注目されています。このトンネルFETは一方向のポテンシャル傾きを持ち、電荷蓄積領域がないため、宇宙放射線・原子炉周辺や二次中性子の照射に対し、ソフトエラー耐性の高いデバイスとなり得ることを狙っています。呉研助手は、トンネルFETが寄生バイポーラ効果が発生しないこと、過渡的エラーを極小にできること、耐放射線性に優れることを、照射実験とシミュレーションの両面から世界で初めて実証することを目指しています。そして、低消費電力デバイスに対する研究を更に活発化していきます。

 電子工学科教員は様々な研究を行っています。興味のある学生さん、ぜひいろいろと話を聞いてみては如何でしょうか。

  • 研究室で学生と研究のディスカッションをする様子(山本教授)
  • クリーンルームにて素子作製時の様子(呉助手)

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